どことなくなんとなく

研究の息抜きに綴る適当な文章

おなかのへる歌

どうしておなかがへるのかな、の歌いだしで有名な「おなかのへる歌」(リンク先音楽注意)

皆さんも一度くらいは歌ったことがあると思います。

「どうしておなかがへるのかな?」

これはとても基本的な疑問であるにも関わらず、まだきちんとした説明はできません。

食欲の制御機構には、数多くの因子が絡んでおり、とても複雑なメカニズムを形成しています。

現在はこのメカニズムの詳細を明らかにするために、世界中で研究が進められている段階です。

ちなみに、食欲の制御機構は私の研究テーマの一つでもあります。

摂食の基本的調節は脳の視床下部を中心とした神経回路によってなされています。

摂食を停止させる満腹中枢が視床下部腹内側核であり、摂食を誘発する摂食中枢は視床下部外側野であると言われています。

例えば、満腹中枢である視床下部腹内側核を破壊すると、極端な肥満を呈します。(リンク先の写真2、3を参照)

このラットは、満腹中枢を破壊されているために、満腹感を感じず、餌を食べ続けてしまいます。

逆に摂食中枢を破壊すると、全く餌を食べなくなり、やせ衰えてしまいます。

これらの中枢内、中枢への入力系、中枢からの出力系、中枢間での連絡等に関係する膨大な量の因子の相互作用により、食欲の制御はなされています。

実際、調べれば調べるほど自分の注目している分子と関係ありそうな因子が出てくるんですよ。

そうこうして色々調べたり、考えたりしているうちにおなかが減ってくるわけです。

その「おなかが減る」仕組みを知りたいのに。

自分の脳は、「仕組みを知りたい」と考えているのと同時に、その「仕組み」をきちんと機能させているんですから、何だかとってもムカつくわけです。