どことなくなんとなく

研究の息抜きに綴る適当な文章

30億文字のスパゲッティコード

Natural Highさん経由で知った記事。

30億文字のスパゲッティコード

http://blackshadow.seesaa.net/article/7465794.html

この記事を読んだ上で以下の文章を読んで頂けると有り難いです。

ゲノムDNAをプログラムという視点から捉えた、とても面白い記事でした。

自分には絶対に出来ない解釈です。

そしていちいち納得。

一部を引用します。

ゲノムの森に分け入った分子生物学者は、

すぐに遺伝子と生化学的機能の関係が1対1であることは少なく

その多くが複数の遺伝子と遺伝子以外の因子が複雑に絡み合ったものであることに気が付いた。

そう、ちょうどスパゲッティコードのように。

IT用語辞典;スパゲッティコード
それでも人間のゲノムの麺の本数(機能領域)は3万もないと判り、

頑張れば何とかなるかもと思っていたら、

今度はこれまで機能がないと思われていた部分が実は機能を持っていることが判明。

ncRNAというタンパク質に翻訳されないRNAが、さらに5万以上もあるとか。

いや、全くこの通りなんです。

そしてこの3万あるいは5万のものが「組み合わさって」機能しているんです。

組み合わせは一体何通りあるんだろう。

この文章で「機能領域」と称されている部分は、いわゆる「遺伝子」です。

遺伝子とは、ちょっと乱暴な言い方をすればタンパク質に翻訳されて機能する領域です。

そしてさらにややこしいことに、一つの遺伝子から一つのタンパク質が出来るのではなく複数個のタンパク質が出来る場合があります(オルタナティブスプライシング

一つの「遺伝子」を細かく分けると「A, B, C, D…」の様な複数のブロックで構成されている場合があります。

そしてタンパク質を合成する時に組み合わせが生じます。

つまり「ABCD」と言うタンパク質と「ACD」と言うタンパク質と「BCD」と言うタンパク質と・・・、のように、一つの遺伝子から複数のタンパク質が生じそれぞれ異なった機能を有することがあります。

従って、複数の遺伝子の絡み合いだけではなく、一つの遺伝子の中にも複数の組み合わせが存在しているんです。

また、当然のことですけど、組織、環境、時間、発達段階、その他様々な要因に応じて、その機能および制御が変化していきます。

こっちを動かしたらあっちも一緒に動いたり、ここを弄れば向こうも動くだろうと思っても全然動かなかったり、そこの働きを止めたらこっちでは機能がブーストされてそっちでは弱くなってあっちでは働き方が変わってたり…。

訳が分からないことも多いです。

でも人間にはまだ理解できていないだけで、生物はこの複雑で膨大な機能とその組み合わせがきちんと制御された結果、生きています。

麺が一本だけあってもスパゲッティではなく、たくさんの麺が複雑に絡み合って初めてスパゲッティとなるように、ゲノムの制御も複雑で煩雑で膨大な絡み合いが本来あるべき姿なんだと思うことにしてます。

確かに設計段階でもうちょっと考えてほしかったですけど<神様

私は毎日、この膨大なゲノムスパゲッティの極々一部を頑張って解きほぐす作業をしてます。

生きてるって不思議ですよ。本当に。