On Your Mark
唯我論的考え方に基づくと、この世界が存在しているのは「私」が意識しているからです。
この世界が自分の想像の産物だと仮定すると、私はとても嫌な人間ですね。
ありとあらゆる災厄を考えているということですから。
藤子・F・不二雄さんの短編「どことなくなんとなく」は唯我論が現実になった人物の話です。
「恐らく」実際には私が居なくてもこの世界には何の影響もないですし、主体と客体の双方を持って認識していくのがより都合が良いだろうとは思います。
しかし、「この世界」とは別の「内的世界」を構築する試みは非常に面白いと思います。
「クリエーター」と呼ばれる人達は彼らの「内的世界」を具象化することに長けている人達です。
そしてクリエーターの人達が構築した世界をベースとして、それを見た各人が独自の世界を広げて行くことの出来るような作品は、「名作」の一つの条件であると思います。
製作者の強烈な主張が込められているにも関わらず、無限の余白が残されているような作品。
そんなものが無いかと頭を捻ってみたところ、一つ心当たりがありました。
初めて見たのは恐らく10年前、あまりにも好きでVHSを買っちゃった作品です。
見たことが無い人は是非一度見て欲しいですし、見たことのある人はこれを機会にもう一度見てみるのはどうでしょうか。
たった6分40秒、しかも台詞のない作品であるにも関わらず、圧倒的な世界がそこにはあります。
「宮崎駿」という稀代のクリエーターには、もっとこの作品のようなものを作って貰いたかったです。
http://www.youtube.com/watch?v=wNbaCwt05ng
(YouTubeの功罪についてはここでは触れません。ただこのようなシステムを無視できない段階にまで進んでしまっていると考えるべきだと思います)