どことなくなんとなく

研究の息抜きに綴る適当な文章

統計のまやかし

実験をしてデータを出しても、統計処理をしないとその数値に意味はありません。 でも「統計処理」って結構難しいのが悩みのタネです。 「統計なんてどうにでもできる」という部分が少なからずあるからです。 また、学会や下手をすると論文でさえも、「統計的には有意差は見られなかったものの、傾向としては減少している」のように自分の都合のいいように解釈をしている例も見られます。 統計の扱いは本当に難しいです。 先日、東京へ行くときに、新幹線の中で読もうと思って一冊の本を購入しました。 その本の感想を簡単に。 ちなみに新幹線の中は往復ともに熟睡したので、結局読みませんでしたけど。
統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか?
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「統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか」 この本は日々発表される「統計」について、どのように疑えば良くて、そこから得られる情報は何なのかを見極める術について書かれています。 景気が回復しているとは言うものの、その実感が得られない。 「景気が回復している」という統計はどのように算出されているのか、そこにはどんな「穴」があって、その統計にはどのような意味があるのか。 また例えば「愛地球博の経済効果は○億円」のような「経済効果」は日々発表されていますけど、それがどのように算出されているかを知っている人は少ないと思います。 この本を読めば、「経済効果」という言葉を聞くだけで眉につばをしたくなることは必至です。 個人的に、第一章の「平均」の項が目からウロコでした。 これを読んでから、今私の持っているデータの中の一つが、実は算術平均ではなくて幾何平均にするべきなのではないか?と悩んでいます。 筆者の専門である「地下経済」について論じてある最終章は非常に興味深かったです。 日本のGDPに換算されない経済活動(脱税と犯罪)の規模が試算されています。 全体的な印象としては、「統計」の信頼性は、データの正確さと前提条件の妥当さに大きく左右されます。 自分の分野に活かすこと考える場合、「前提条件の妥当さ」が特に難しいです。 この本の中身は主として「経済学」であるため、「生物学」を生業とする私にとっては「直接」役に立つ本ではありません。 しかし様々な統計を実例としながら、統計のクセや考え方をここまで解説してくれている本と言うものはとても貴重だと思います。 凄く面白かったです。 でも、最低限とは言いつつも数式とか用語とかが割と容赦なく出てくるので、若干難しかったです。 ニュースなどを見ていて、何となく騙されたような気分になる人は必読です。 ホント、統計は有意と無意が表裏一体です。
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