どことなくなんとなく

研究の息抜きに綴る適当な文章

にねん

一年は短すぎる、三年は長すぎる、二年が恐らく丁度いい、と言うことで、少し二年前を振り返って今ならこう思う、こうする、と言うことを少し記しておきたいと思います。
状況としては仙台市の比較的被害の少ない地域での経験ですので、難易度としては高くはありませんが、将来、似たようなことが起きた場合に大多数の人が経験する出来事と相似しているのではないかと思います。

Level1; 生きること。
食べ物と飲み物の確保です。
これは、私に関しては家に備蓄がかなりあったこともあり、大きく困ることはありませんでした。
また大手のスーパーや生協などは独自のネットワークを持っているらしく、有難いことに物品が完全に枯渇すると言う状況もありませんでした。
数時間スーパーに並べば、最低限の物品を手に入れることはできました。
日本全体が沈没とか、そのような事態にならない限り、最初の数日を乗り切るだけの用意があれば恐らく十分です。
ちなみに、カップ麺などは最初期にはお湯が手に入りません。冷凍食品は電子レンジが動きませんので地味に注意が必要です。

Level2; ライフライン
水、電気、ガスのうち、水と電気は比較的早い時期に復旧しました。
インフラ屋さんの努力は並大抵のものではなかったと思うのですが、そのおかげでかなり事態は改善しました。
私の自宅は3月13日には水と電気は使える状態になっていたと思います。
ただこの辺の事情は地域によって、被害程度によってかなり異なります。
一ヶ月以上、水が復旧しなかった地域もかなり広範囲にありました。
近所の公園および公民館が断水を免れていたため、水が出ない間はそこまで汲みに行ってました。
トイレも可能な限りそこを利用するようにしました。
ガスに関しては、都市ガスを使っている世帯は復旧までにかなりの時間(一ヶ月以上)を要しました。
プロパンガスの家は、ボンベに異常さえなければすぐに使用可能です。
ガスを使う作業のうち、電気があればかなりの部分を代替可能です。
ホットプレート、電気ケトル、電子レンジなどは大活躍です。
上記に加えカセットコンロもあれば、料理に関しては大丈夫です。
ガスが使えなくて一番困るのは何と言ってもお風呂。
シャワーからは水は出ますがお湯が出ません。
私の家では、電気ケトルおよびカセットコンロを使って熱湯をバケツ一杯分沸かし、その熱湯を水で湯加減を調整しながら行水をしてました。
最後の方は割と快適に体を洗って行水できてましたので、慣れって怖いです。

Level3; 情報。
地震当日、翌日は大部分はラジオです。
動くラジオがあって本当に良かったです。
ネットに関しては、停電が最大のネックでした。
iPhoneでの情報収集も行ってましたが、充電できないことと電波が死んでたことで、思うような情報収集は行えませんでした。
最初期を乗り越えれば、ネットは十分に有用でした。
ただ、個人的にはTwitterから流れてくる情報はノイズが多く、今必要な情報ともズレがあったように感じます。
自分の無事を知らせるツールとしては、Twitterは有効でした。
リアルの人間関係の人達よりもTwitter上の人達のほうが、私の無事をいち早く知ってましたし。
また、地震から数ヶ月のスパンで必要な情報(支援情報や復旧情報など)は、ネットで腰を据えて調べないと意外と入手しづらかったです。
また、一度調べたことであっても、ルールが度々変わってしまうことがあったため、期間を置いて何度か調べる必要がありました。

Level4; 車。
ガソリンはなるべく満タンにしておいた方がいいです。
私の車は地震当時、ガソリンが約半分残っていました。
半分というのは心もとないです。
私はなるべく大事にガソリンを使うようにして、地震から約2週間後に給油しました。
当時深刻なガソリン不足で、ガソリンスタンドに8時間以上並びました。
ただ、並んで給油できたことそのものがかなり運が良くて、どのガソリンスタンドが営業しているかはさっぱりわからないからです。
この、「営業しているガソリンスタンド」の情報を集めるのに一番役に立ったのは2ちゃんねるです。
タンクローリーの目撃情報、開店情報、予想など、非常に役に立ちました。

車は自力で発電できる限られたツールです。
車に取り付けられたラジオ、テレビから情報も得られますし、携帯の充電もできます。
移動もできますし、人を乗せることもできます。
雨風を凌ぐこともできます。
たまたま車に毛布を積んでいたおかげで、避難所に泊まるときにかなり助けられました。
車には毛布と着替えと、タオル等を積んでおくととても便利です。
急に温泉に行きたくなった時にもとても便利です。

Level5; 人間。
私自身は大した出来事はなかったのですが、周りで見聞きした話しを少し。
家が全壊したり津波被害にあったりした人が周りに数人いますが、そのこと、およびその後発生した出来事によって、それぞれの人達がそれぞれ苦労をしていました。
彼ら・彼女らには百万単位で義援金・支援金が入ってきています。
もちろん、家の修繕費や生活の再建のために使用するお金なのですが、周りにいる人達にとってはそうとは限りません。
例えばの話ですが、親戚のなかでもあの人ちょっと注意だよなー、とか、あの人ちょっと信用ならないよなー、とか思っている人がいたら、大体、想像通りの行動をするように感じました。
急にしゃしゃり出てきた人とかも。
当事者がそのことに気づいていればいいのですが、そうでない場合、こちら側が「悪者」に見える場合も多々あります。
どこまで介入するかはその人との関係性次第で、場合によってはかなりの労を費やす覚悟が必要になることもあります。
そして、労を費やしてもあんまり良いことはないです。
悪いことを回避できたなら、それは御の字。

つらつらと思いついたことを書いてみました。
一つのケースでしかありませんが、残しておくことに少しでも意味があれば良いなあ、と思います。
明日は、多くの人にとっての三回忌です。
心より哀悼の意を表します。