どことなくなんとなく

研究の息抜きに綴る適当な文章

何だかなあ

こんな記事を見つけました。

「食前の”低脂肪乳”で体脂肪減、ウエストにくびれ」

さて、この記事のタイトルを見てどのような印象を受けましたか?

恐らく「低脂肪乳を飲むと痩せる」と感じたと思います。

しかし、あまりにもツッコミどころが満載だったので、ツッコミます。

牛乳(低脂肪乳)を飲むと体脂肪が減り、筋肉量が増えるというダイエット効果が確認された。

ふむふむ、なるほど。

新入生女子を対象に、やせ願望のある人を2群に分け、一方は1日1回、低脂肪乳200mLを食前に飲んだ。対照群は、牛乳等の乳製品の摂取について、特に制限を設けなかった。

まずはココ。

低脂肪乳」の効果を知りたいのであれば、対照群に乳製品の摂取について制限を設けないのはおかしいです。

対照群には低脂肪ではない「牛乳」を摂取させなければなりません。

もし「牛乳」の効果を知りたいのであれば「水」ですね。

じゃないと対照群の意味がありません。

ベストなのは「低脂肪乳群」「牛乳群」「水群」の3群に分けることかもしれません。

両群の全員に対して、「間食を控えて、3食きっちり食べる」「ウオーキングなどの適度な運動をする」といった指導を行った。

これに関しては問題ないと思います。

しかし、食事量、内容、運動時間などの記録を付けさせたかが気になります。

4ヶ月間の追跡が可能だった低脂肪乳群22人、対照群18人で、ダイエット効果を比較した。2群の振り分けは完全な無作為ではなく、対象者の意向も聞き入れたという。

…絶句。

このような実験の場合、標本の抽出は無作為である必要があります。

しかし、意向を聞き入れたということは、被験者は自分がどちらの群に属しているかを知っていたことになります。

そうすると、「低脂肪乳群」と「対照群」との間にはモチベーションの差が生まれる可能性があります。

モチベーションの差は上記の食事、運動の内容にダイレクトに影響を与えます。

従って、被験者には自分がどちらの群に属しているかを秘密にする必要がありますが、この点が守られていません。

試験の結果、体重は低脂肪乳群で1.0kg減、対照群で1.1kg減で、減量効果に差はなかった。しかし、体脂肪量は低脂肪乳群で1.7kg減、対照群で0.4kg減と差が出た。また、筋肉量はそれぞれ0.7kg増と0.7kg減、ウエストは3.6cm減と1.1cm減だった。

上記の理由から、体脂肪量と筋肉量において生じた差異については、「やる気の差なんじゃねーの?」と突っ込むことが可能です。

運動をする時のモチベーションが同じだったとは考えにくいです。

低脂肪乳のダイエット効果の源は、「カルシウムでは」と推測する。

だったら別に牛乳でいいのでは?。

敢えて「低脂肪乳」にした理由にはなりません。

だから牛乳との比較が必要なのに。

なお、カルシウムのダイエット効果は、サプリメントでとるより乳製品でとるほうが高いことが、動物実験で確認されている。ただし、「低脂肪乳に含まれるどの成分がダイエット効果を高めているのか、また、その理由も、はっきりとはわかっていない」

じゃあ、それを調べるべきなのではないかと。

最初は、カルシウム+牛乳に含まれる他の成分(例えばタンパク質とか脂質とか)を摂取してもらって効果を比較するだけで充分だと思いますし。

ほぼ全文引用する感じになってしまいました。

とりあえず、低脂肪乳を食前に飲むと体脂肪量が減るらしいので、興味のある人は実践してみてはどうでしょうか?