どことなくなんとなく

研究の息抜きに綴る適当な文章

遺伝子組換え作物

今日、ムシャムシャと納豆を食べていたら目に飛び込んできたこの文言。

「遺伝子組換え大豆は使用しておりません」

遺伝子組換えをしていないことが価値であるかのように、何となく誇らしげに書いてあるように見えました。

でも、私は別に遺伝子組換え作物を用いた食品が、特別悪いとは思えないんですよね。

「遺伝子組換え作物」には沢山の種類があって、全部はとても書ききれないので、今回は「大豆」のみについて少し書きたいと思います。

「遺伝子組換え大豆」にもいくつか種類がありますが、主に流通しているのは「ラウンドアップ・レディ」というものです。

これは「ラウンドアップ」という除草剤に対して抵抗性を持たせる遺伝子が導入されています。

ラウンドアップは植物の「シキミ酸合成経路」を阻害する薬剤です。

そして、人間を含む動物には、そもそも「シキミ酸合成経路」そのものが存在しないため、影響はありません。

マウスでのLD50(体重1kg当たり、この量を摂取すると半分の個体が死に至る量)は、経口投与時で10000mg/kgのようです。

ちなみに食塩のLD50は4000mg/kgなので、ラウンドアップは食塩と同等以上の安全性があると言えます。

ラウンドアップ・レディ」にはこの「シキミ酸合成経路」を触媒するタンパク質をコードする遺伝子が導入してあるために、ラウンドアップ耐性です。

従って、比較的安全性の高いラウンドアップを除草剤として使用することができます。

じゃあ、導入した遺伝子は安全なのか?という疑問が生じます。

「遺伝子」そのものは所詮はDNAが繋がったものに過ぎませんから、危険性はありません。

ネットでは「組み換え遺伝子が人間に入らないのか?」みたいな疑問もちょっとありましたが、これは非常に考えにくい。

豚肉食べた(=豚の遺伝子も食べた)からって豚にはならないのと同じです。

遺伝子産物の安全性についても、非常に厳密に検査されています。

遺伝子産物のアレルギー誘発性、毒性、代謝経路への影響、等等の検査に合格しています。

ここまでの検査、科学的評価が為されているのって、遺伝子組換え作物だけなんですよね。

ある意味、どんな食品よりも安全のお墨付きを貰ってるようなものです。

今回私が言いたいことは、「遺伝子組換えだからってそんなに嫌がらなくてもいいんじゃないの?」ということです。

もちろん組み換え遺伝子が自然界に広がらないように細心の注意は必要です。

しかし「食品としての安全性」自体は、その辺の普通の食品と比べても遜色はありません。

本来、「人間に食べられるために存在するもの」というのは「母乳」以外には存在しません。

その他の食べ物は人間が勝手に搾取して食べてるだけですから、大なり小なりリスクがあるのが当然です。

そのリスクを判断した上で、目の前の食べ物を美味しく戴くのが一番なんじゃないかな~、と思ってます。

でもあれだ、この間の学会の時に「遺伝子組換え大豆」を使った納豆巻が沢山出てきて、「遺伝子組換え作物は安全です」という演説が始まった時は流石に引きました。

納豆巻は美味しかったけど。

おかわりもしたけど。