アーティファクト
色々な事情が絡まって、今、ウィルスベクターを使った遺伝子導入法について調べています。
そうすると、この分野で最も研究が進んでいるのは遺伝子治療についてなので、これについても勉強しています。
色々調べているうちに、こんな記事を見つけました。
米国シティー・オブ・ホープ国立医療センターによるエイズの遺伝子治療臨床試験にレトロネクチン?を供給(タカラバイオニュース)
内容を簡単に説明すると、「レンチウィルスベクター」を使って「HIV(ヒト免疫不全ウィルス)」の増殖を抑えようと言う試みです。
レンチウィルスベクターに、HIVのtat遺伝子とrev遺伝子に対するshRNAを組み込み、RNAiによって上記の遺伝子の発現を抑えようとするのが、この方法の根幹になっています。
それが上手くいくと、HIVの増殖が抑えられるため、エイズの症状を発症させなくすることが可能になると考えられています。
面白いなあ、と思ったのは、もともとこの「レンチウィルスベクター」というのは「HIV」を改造して造られたものなんです。
そして、その「レンチウィルスベクター」が「HIV」を治療する切り札になるかもしれない。
利用できるものは何でも利用すると言うか、なりふりかまってらんないと言うか、そんな印象を受けました。
そして、「治療」が目的である以上、その姿勢で研究して問題ないと思います。
使えるものは何でも使えば良いんです。
ただ、少しだけ「レンチウィルスベクター」の境遇に、「改造人間」に似た哀愁を感じました。
孤高のヒーロー。
まあ、所詮はウィルスなんですけどね。