科学リテラシー
なんとなく「理科離れ」と言う言葉をよく聞く気がします。
別に好き嫌いは好みの問題ですから、「理科嫌い」そのものには何を言うつもりもありません。
個人的に理科は面白いと思ってますけど、これも好みの問題ですし。
しかし、理科嫌いの人であっても、実生活において「理科が必要」であることについては異存はないんじゃないかな、と思います。
もちろん「科学」や「技術」の発展という意味合いもありますけど、これに携わる人は一部ですし、高度な理科知識(例え専門に偏っていても)を持っているのは当然です。
そうじゃなくて、そのような仕事には関わっていない人であっても、最低限の理科の知識は必要だと思います。
生活に密着していますし、場合によっては健康や命に関わる問題にもなるからです。
TBSの白インゲン豆ダイエット特集に端を発した集団下痢・嘔吐の発生は記憶に新しいところです。
つまり、「科学リテラシー」はどうしても避けられないものになっていると思います。
この場合の「リテラシー」とは、「ある分野に関する知識やそれを活用する能力」のことです。
2003年度科学技術白書によると、日本人の「大人」の科学技術基礎概念の理解度は17ヵ国中13位、以下に引用する問題(11問)の正答率は54%だったようです。
問題を引用します。
(1)地球の中心部は非常に高温である。(2)すべての放射能は人工的に作られたものである。
(3)我々が呼吸に使っている酸素は植物から作られたものである。
(4)赤ちゃんが男の子になるか女の子になるかを決めるのは父親の遺伝子である。
(5)レーザーは音波を集中することで得られる。
(6)電子の大きさは原子の大きさよりも小さい。
(8)大陸は何万年もかけて移動しており、これからも移動するだろう。
(9)現在の人類は原始的な動物種から進化したものである。
(10)ごく初期の人類は恐竜と同時代に生きていた。
(11)放射能に汚染された牛乳は沸騰させれば安全である。
解答(1)○(2)×(3)○(4)○(5)×(6)○(7)×(8)○(9)○(10)×(11)×○×の二択なので、ランダムに答えても半分は当たります。
つまり、正答率54%はほぼ致命的であると言えるのではないかと思いました。
私は立場上、全問正解じゃないとマズいですし、実際全問正解でした。
一方で、15歳の学力の国際比較では、日本は「科学リテラシー」の項で40ヵ国中2位の成績だったようです。(OECD生徒の学習到達度調査, 2003)
社会実情データ図録;学力の国際比較(OECDのPISA調査)
参加する国も違いますし、問題も違うでしょうから比較は出来ないのですが、15歳時点での科学リテラシーは比較的高水準なのかもしれません。
マスメディアでは毎日、膨大な量の情報が発信されています。
そしてその中には広義での「科学」に括られるような内容のものも多いです。
しかし、その情報が「本当」であるとは限りません。
むしろ「本当ではない」場合も多いように感じます。
情報を判断するのはその人自身なので、せめて上記の問題で8割程度は正解するくらいの科学知識はあった方がいいんじゃないかな、と思いました。
健康特集を見て実践したせいで健康を損なうとか、笑えませんから。