in silicoは大事
生物学の分野では、「in ○○」と言う表現がいくつかあります。
主にどのような環境での実験なのかを表すために用います。
・in vitro ; 語源はラテン語で「ガラスの中で」、意味は「試験管内で」。
試験管内などの人工的に構成された条件下、すなわち、各種の実験条件が人為的にコントロールされた環境であることを意味します。
細胞や個体など、生体内で行なわれた実験に対して使われます。
・in situ ; 語源はラテン語で「本来の場所にて」。
分子生物学などの実験において「生体内の本来の場所での」という意味で用いられます。
in vivoも生体内ですが、in situの場合は目的のタンパク質やRNAが「本来存在する場所」でどのような機能を持つかを調べる実験のときに使われます。
そして近年、無視できない概念として「in silico」というものがあります。
・in silico ; 意味は「シリコン内で」、つまり「コンピュータ内で」。
今はマウスやヒトであれば、全DNA配列を始めとする様々な情報が容易に手に入ります。
また情報が手に入るだけではなくて、そこからの構造予測やモチーフの検索、遺伝子の特定、あるいはSNP(一塩基多型)検索と機能の予想も可能です。
ただし問題なのはこれらの情報が膨大すぎて、あるいは繁雑すぎて、使いこなすことの出来る人の数が必ずしも多くないことです。
正確には、使える人と使えない人の差が大きい、ということです。
私も「ちゃんと使えてるか?」と考えると自信はありません。
先日、共同研究先の友人が「調査で30時間以上家に帰ってないよー」と言ってました。
話を聞くと、どうにもうまく調べることが出来てなくて、凄く効率の悪いことをやっていました。
たまたま私はもうちょっと効率の良いやり方を知ってたので、教えてきました。
これで仕事が大分ラクになったと思います。
でも「私が教えたやり方」がベストかどうかは分かりません。
これからはますますこのような「in silico」が大事になると思います。
隙を見てもっと勉強しないとなー、と思ってます。
ただ、どの分野もそうだと思うんですが、最終的には独学になるのが辛いところ。