どことなくなんとなく

研究の息抜きに綴る適当な文章

知性

世界一賢いとされていたオウムのAlexをご存じでしょうか。 そのオウムが先日亡くなりました。 「知能は5歳児並み」世界一賢いオウム、アレックス死去 記事を引用します。
高度なおしゃべりをすることで世界的に有名なオウムのアレックス(Alex)が、7日に31歳の生涯を閉じた。アレックスの飼い主であるアイリーン・ペッパーバーグ(Irene Pepperberg)博士(比較心理学)が明らかにした。死因は自然死だったという。
レックスは、ペッパーバーグ博士から100以上の英単語を教え込まれ、「僕は~をしたい」「僕は~に行きたい」など、目的語や目的地を入れた簡単な会話をすることができた。また、50の物体、7つの色、5つの形を認識し、数を6つまで数えることもできた。「彼は2歳児の感情と5歳児の知性を持っていた」と同博士は指摘する。
なお、アレックスは死ぬ前日の夜、自分を鳥かごに入れて去ろうとする博士に「じゃあね、また明日。君を愛してるよ」と声をかけたという。
この記事だけでAlexの頭の良さの片鱗が伺えます。 そして、博士との最後のやり取りは非常に印象的です。 でも、「おしゃべり」をするオウムが、最後にどのような言葉をしゃべったのかは、やはりオウム自身が発した(選んだ)言葉で知りたいです。 それは当然日本語であるはずがなく、英語のはずです。 こういうときには元の記事(原文)を読むのが一番です。 Brainy Alex drops off his perch 最後のやり取りの部分だけを引用します。
The last time Pepperberg saw Alex was Thursday, she said. They went through their back-and-forth goodnight routine, which always varied slightly and in which she told him it was time to go in the cage. She recalls the bird said: "You be good. I love you." She responded, "I love you, too." The bird said, "You'll be in tomorrow," and she responded, "Yes, I'll be in tomorrow."
前述の日本語の記事では"You'll be in tomorrow"を「また明日」としています。 確かに、それでも意味は通ると思うのですが、実はこの言葉はもっと深いような気がしてなりません。 この言葉を直訳すると、こんな感じになります。 「あなたは明日存在してます」 もし反語で「(でも私は明日には存在していません)」という意味をAlexが込めていたとしたら。 人間以外の動物が、Alexのように「言葉」を理解した場合、その知性がどうなるかということには非常に興味があります。 どの程度の「概念」まで理解することができるのだろうと。 自分自身の「死」については理解していたんだろうかと。 「知性」を生み出しているものは、一体何なんだろうと。 でもこの疑問にはもうAlexは答えてくれません。 Alexの冥福を心から祈っています。 でも、あの世でAlexと仲間のオウムとの間で話が合うかどうかが少し心配。