どことなくなんとなく

研究の息抜きに綴る適当な文章

青いバラ

英語で「Blue Rose」は「実現不可能」という意味を持ちます。

それはバラには、赤・白・ピンク・黄色などがあるのに対し、青いバラはこの世に存在しないからです。

今までに多くの育種家の人たちの努力にも関わらず、「青いバラ」は実現されませんでした。

ところが、2004年6月にバイオテクノロジーを用いて、サントリー株式会社がオーストラリアのフロリジン社と共同で、青紫色のバラを発表しました。(リンク先に写真もあります)

バラには「デルフィニジン」という青色色素を作るための酵素がありません。

そこで、その酵素をコードする遺伝子を青色のパンジーから取り出し、ひょいとバラに導入したわけです。

そうして「青いバラ」が完成しました。

そのうち「Blue Rose」は「実現不可能」という意味ではなくなるかもしれませんね。

「(人間の叡智による)実現可能」とかそんな感じの意味になるのかもしれません。

そうすると、近い将来、青いバラが大量生産されて市場に出回るようになれば、青いバラは「遺伝子組み換え技術」のシンボル、というかプロパガンダに利用される気がします。

遺伝子組み換え技術」を大々的に、ネガティブなイメージなしで売り込むには「遺伝子組み換え大豆」よりは「青いバラ」だと思いますから。

今までは手の届かない、理想の世界だった「青いバラ」が、世俗にまみれていってしまうのを見るのは悲しいですね。

そう、ちょうど子供の頃から憧れていた「研究」の実態を知ってしまったときのような気持ち。