どことなくなんとなく

研究の息抜きに綴る適当な文章

孤独のグルメ

孤独のグルメ」という本(マンガ)を読みました。 凄く面白かったです。 でも、同時にこの本は何故こんなにも面白いんだろう?と不思議に思う本でもありました。 "孤独のグルメ" (久住 昌之, 谷口 ジロー) 個人で雑貨の輸入商を営んでいる主人公、井之頭五郎が、仕事の合間にメシを食う。 ただそれだけの話です。 それもよくある料理マンガのように、料理に対する詳しい解説もありません。 「豚肉炒めととん汁で豚がかぶってしまったな」とか「ここはなめこ汁で決めよう」とか、食べ物に対する含蓄よりも、主人公の述懐がメインになっています。 「会話」もありますが、それよりも「モノローグ」で全てが語られています。 30代後半から40代前半とおぼしき主人公が、ひたすらに食べているだけのマンガ。 しかも食べているのは、街の定食屋などの、いわゆる「B級グルメ」ばかり。 でもこの上なく面白い。 この本を面白いと思えるか否かの境界は、「共感」できるか否かにあると感じました。 そして、彼の「美学」はこの言葉に集約されています。 「モノを食べる時はね、誰にも邪魔されず、自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんだ。独りで静かで豊かで……」 独りで食事をすること。 人によっては至福の時間にもなりますし、人によっては苦痛でしかないのかもしれません。 そして、前者の人間にとっては、この本は凄く共感できるんです。 私は基本的に単独行動が多いので、自然と「独りで食事をすること」も多いです。 地元の場合はラーメン屋くらいしか行きませんが、出張などで色んな街に行ったときには、「独りで食事をすること」は楽しみの一つでもあります。 知らない街で、知らない店に入って、知らないものを食べてみる。 これは凄く面白いです。 知らない店に入るのは、若干の心理的なハードルがあります。 「この店は大丈夫だろうか?」「入りやすい店はどれだろうか?」 色々な葛藤があります。 そして、「エイや」と入って、周りを観察しながら注文して、ドキドキしながら食事を味わう楽しさを、この本を読むと思い出すんですよね。 「神戸で行った明石焼きのお店は中々いい雰囲気だったなあ」とか「札幌のラーメン屋にはあと何軒か行きたかったなあ」とか「広島のお好み焼き屋さんはイマイチだったなあ」とか「沖縄では独りで入ったら断られたなあ」とか。 この本は「孤独のグルメ」を楽しめる人、全てにオススメです。 今年はとりあえず、出張で9月に横浜に行きます。 実は未だ食べたことのない「横浜中華街」がとても楽しみになりました。 あと、やはり9月にドイツにも行きます。 異国の地で「孤独のグルメ」はとてもハードルが高そうですけど、1回くらいはチャレンジしたい気持ちになりました。