どことなくなんとなく

研究の息抜きに綴る適当な文章

ノーベル医学生理学賞

今年のノーベル医学生理学賞が、「RNA interference(RNAi)」(日本語ではRNA干渉)を発見したスタンフォード大学のAndrew Fire教授、マサチューセッツ大学のCraig C. Mellow教授に贈られました。

<ノーベル医学生理学賞>米の2教授に…「RNA干渉」発見

RNAiは二本鎖RNAと相補的な配列を持つmRNAが分解される現象のことです。

「遺伝子が働く」ということを物凄く単純化すると、「DNA」から必要な部分だけを「mRNA」として写し、その「mRNA」の情報を元にしてある機能を持つ「タンパク質」を合成するという流れになっています(セントラルドグマ)。

従ってこの「mRNAが分解される機構」というのは、「遺伝子の働きを抑える」という目的での応用が物凄く広いんです。

狙ったmRNAの相補的な二本鎖RNAを導入するだけなので、手法としても難しくありません。

現在では世界中の研究室で「RNAi」を使った実験がなされています。

私の所属する研究室でもやっている人がいます。

残念ながら私自身は今のところやる予定はないのですが。

博士らがRNAiを初めて報告したのは1998年、まだ10年も経っていません。

多分この論文です。

Potent and specific genetic interference by double-stranded RNA in Caenorhabditis elegans

世界中の研究室でこの技術が使われるようになってからおよそ4年くらいですので、発見から4年後には分子生物学の研究には欠かせない手法の一つになっていました。

大変に大きなブレイクスルーです。

PCRに匹敵するくらいに大きなブレイクスルーだと思います。

1953年のワトソン、クリックらによるDNAの二重らせんの発見以来、何度かの大きなブレイクスルーがありましたが、RNAiは間違いなくその中の一つです。

RNAiに関してはノーベル賞を受賞して然るべき発見ですので、今回の発表を聞いても「なるほど」と納得する以外にはありませんでした。

遅かれ早かれ絶対に受賞する内容なので、早い方が良いと思います。

10年前には概念すらなかったものが、現在では一つの強力な手法になっています。

10年後、自分が一体どんな手法でどんな実験をやっているんだろうと考えると、とても楽しみです。

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