名付け親
長い人生の中、名前をつける機会というものが誰しも一度はあると思います。
例えば子供が生まれたとき、ペットを飼い始めたとき、ドラクエで「冒険の書をつくる」を選択したとき等がそれに当たると思います。
そして科学者という連中は、この世の普遍的なものに名前をつける機会に恵まれることがあります。
例えば星は発見者の名前をつけることが多いです。
私の得意分野だと、新しい機能を確定したタンパク質やホルモンなどの名前です。
その際には頭を捻って名前をつけることになります。
例えば食欲を抑えるホルモンであるレプチン(Leptin)はラテン語のLeptos(痩せる)から付けられました。
逆に食欲を増進するホルモンであるグレリン(Ghrelin)はgrowの語源がインド・ヨーロッパ基語でghreであることから名付けられました。
また、機能や構造をそのまま名前にしてしまう例も多いです。
CREB(cAMP-response element binding protein)など、例を挙げればキリのないほど沢山あります。
このようなものは初めて見ても名前を見ただけである程度の機能が分かるので、非常に有り難いです。
一方で何でこんな名前にしてしまったんだろうな?と思うようなものも多々あります。
何個か例を挙げると、
Shugoshin;減数分裂の際に異常に染色体が分配されることを防いでいます。減数分裂の「守護神」であることから。
Izumo;受精の際に精子と卵子の融合に必要なタンパク質。縁結びに有名な神社の名前から。
Pokemon;癌の進行の鍵を握るタンパク質。癌抑制遺伝子のARFの産生を直接減少させます。なお、「POK Erythroid Myeloid Ontogenic factor」の略らしいです。
もうピカチュウしか見えません。
上記のタンパク質は名前はちょっと個性的ですが、非常に面白く、重要な働きをしているものばかりです。
発見されてから日が浅いため、まだ未知なことも多く、これから関連論文がたくさん発表されると思います。
うん。やっぱりそのたびに頭の中ではピカチュウなんだろうな。