どことなくなんとなく

研究の息抜きに綴る適当な文章

因果関係

原因があって結果があり、その逆は有り得ないというのが因果律の基本です。

ただしこれは「原因Aが結果Bに影響を与える場合」に限った場合の話です。

事象Aが起きた後に事象Bが起きたとき、AがBに影響を与えていない場合はそれはただの「先後関係」です。

たまたまそういう順番で起きただけです。

最近気になることの一つに、この「因果関係」がない(或いはハッキリしない)にも関わらず、まるで因果関係があるかのように取り上げられていることがあります。

しかも結構な賛同を得ていたりするのでビックリしてしまいます。

例えば「天然素材」。

「天然素材だから安心」とか「天然素材だから身体に良い」とか、割と良く聞く文句だと思うんですが、「素材が天然であること」とそれらが「安心であること」には関係がありません。

天然素材であるところのテトロドトキシンは猛毒です。

嘘だと思う人は飲んでみてください。

このようなことを謳い文句にしている商品は、例えそれがどんなに優れた商品であっても、個人的に胡散臭く感じてしまいます。

例えば「水からの伝言」。

これはもっと酷いです。

詳しくはこのサイトを見てみてください。

「水からの伝言」を信じないでください

水からの伝言」を知らない人のために一部を引用します。

「水に『ありがとう』などの『よい言葉』を見せると、きれいな結晶ができて、『ばかやろう』などの『わるい言葉』を見せると、きたない結晶ができる」というのが「水からの伝言」というお話です。 テレビで芸能人が取りあげたこともあるし、小学校の授業の教材として使われたこともあるそうです。
綺麗汚い良い悪い、同じ人間の中でさえコンセンサスが得られていないような事柄に対して、「水」が反応するというおかしな話です。

でも実際に「水からの伝言」を信じている人の数は決して少なくはないようです。

私の得意分野は生物学なので「水」のことにはそこまで詳しいわけではありませんが、この話を「嘘である」と断定するのに躊躇いはありません。

このような話題になるとまず思いつくのが「科学リテラシー」です。

この話題は昔書きました。

確かにある程度の科学に対する知識が必要なのは当然なんですが、今回のエントリで挙げた事例に関しては「科学以前」の問題です。

理系文系問わずに「論理的に考えること」が出来れば、少なくても疑問を感じると思います。

「これはちょっとおかしいだろ」と思えるか思えないか、この差はとても大きいような気がします。

そしてこのような事例を信じてしまう人が少なからずいると言うことは、「騙す側」にとってはパラダイスです。

将来「科学的詐欺師」になるものいいかもしれない、と一瞬考えましたけど、ポーカーフェイスは苦手でした。